人材を採用したい企業と働きたい転職希望者の間に入り、企業が求める人材要件に適した人材を仲介する「人材紹介サービス」。急な欠員が出た場合や、他社で経験を積んだスキルのある人材を採用したい場合などに、初期費用ゼロで採用活動が行える、とても効率的な採用手法です。この記事では、そんな人材紹介サービスについてどんな特徴があるのか、利用するとどんなメリットが得られるのか、人材紹介サービスを選ぶ際のポイントや利用のコツなどを、図を使いながらわかりやすく解説します。
人材紹介サービスとは企業から求人の依頼を受け、
要件に合う人材を紹介するサービス
人材紹介サービスとは、人材紹介会社が人材を採用したい企業から依頼を受け、求人要件に適した人材を紹介する、有料の採用支援サービスのこと。正式には、厚生労働大臣から許可を受けた「有料職業紹介所」を指します。まずは、人材紹介サービスのしくみや、種類を見ていきましょう。
人材紹介サービスのしくみ
ー人材紹介会社の役割はマッチングから選考のサポートまでー
人材紹介サービスのしくみは、下記の図のようになっています。
まず、人材採用を行いたい企業は、人材紹介会社と人材紹介契約を結びます。すると、人材紹介会社は企業に対して、採用要件に合う転職希望者を仲介します。一方、転職希望者は人材紹介会社へ登録・転職相談を行います。すると、登録した転職希望者に対して、人材紹介会社は希望に合う転職先を紹介します。最終的に企業と転職希望者が雇用契約を結んだら、企業から人材紹介会社に報酬が支払われる、というしくみです。
人材紹介サービスにおいて、人材紹介会社は、企業の採用支援のためにさまざまな業務を代行します。
代行業務の例
●求人票の作成支援
●採用条件に合った転職希望者情報の人選、推薦
●面接日程の調整
●応募者への合否連絡、フォロー
●条件交渉(給与面など) など
人材紹介サービスには一般紹介型とサーチ型、アウトプレースメント型の3種類が存在
人材紹介サービスには、主に「一般紹介型」「サーチ型」「アウトプレースメント型」の3つの業態があります。自社の求める人材に合わせて使い分けるとよいでしょう。
一般紹介型
一般紹介型は、人材紹介会社が保有する登録者データベースの中から、企業の採用要件合う人材を紹介するサービスです。3つの業態の中では最も普及しており、多様な職種や業種を取り扱う「総合タイプ」と、特定の業界や職種に特化した「専門タイプ」とがあります。
サーチ型
サーチ型は、自社のデータベースのほか、他社のデータベースや独自の情報網、SNSなどのさまざまな手段を用いて、幅広く採用候補者を探すサービスです。「エグゼクティブサーチ」「ヘッドハンティング」「スカウト」と呼ばれることもあります。役員候補や社長候補といったエグゼクティブ層や、特定の専門スキルが必要なポジションなど、候補者が絞られる採用に用いられることが多い業態です。
アウトプレースメント型
アウトプレースメント型は、雇用の継続が困難になった社員をグループ企業や系列会社へ就職できるようにサポートするサービスです。その特徴から、「再就職支援型」とも呼ばれています。企業から委託された人材紹介会社が、解雇に伴う手続きや労使紛争の処理、解雇する人員への教育研修、求人紹介などを代行します。それらの費用は、人員削減を行う企業が負担するのが特徴です。
人材紹介会社を利用するメリット5つ
人材紹介会社を利用することで、自社にはどのような効果があるのでしょうか。メリットを5つご紹介します。
①正社員・契約社員など、自社での直接雇用が前提のため、長期雇用が可能
人材紹介サービスで仲介される人材は、企業との直接雇用が前提。そのため、正社員や契約社員など、長期的に働く雇用形態での採用となります。人材不足の解消だけでなく、企業戦略に沿った人材の育成や、長期的に働いてもらうことによるノウハウの蓄積などが期待できます。
②社内に新たな業務ノウハウが蓄積できる
自社と異なる企業文化を経験した人材を採用することで、これまで社内になかった新しい発想が得られたり、他社で培ったノウハウを活用できたりと、事業の継続・成長につなげていくこともできるでしょう。
③成功報酬型の料金体系で初期費用がかからないことが多い
人材紹介サービスの料金体系は、転職希望者が入社した時点で報酬を支払う「成功報酬型」であることが一般的です。採用が決定するまでの初期費用がかからないというメリットを活かして、通年で募集をかけることもできます。
④採用に関する工数が削減できる
人材紹介サービスでは人材紹介会社が企業に代わって採用支援を行うことから、採用に関する工数を削減できる点もメリットです。企業の人事・採用担当者は応募者の選考にのみ注力できるため、効率よく精度の高い採用活動ができるようになるでしょう。
⑤非公開で募集できる
求人広告などの公開型の採用手法とは異なり、非公開で求人募集を行えるのも人材紹介サービスを利用するメリットです。「従業員に人事状況を知られたくない」「新規プロジェクトに伴う人材募集で、競合他社に動向を知られたくない」「求人の応募が殺到しないようにしたい」など、情報流出を避けたい場合の採用に有効です。非公開での募集は、公募とは異なり、対象となる人材だけをピンポイントで紹介してくれるため、情報流出を避けたいときに有効です。 (参考:『人材紹介会社と人材派遣会社の違いとは?7つの観点から図を交えて解説』)
人材紹介サービスの多くは、
採用決定時に初めて費用が発生する成功報酬型
人材紹介サービスの多くは「成功報酬型」の料金体系をとっており、採用が成功した場合にのみ紹介手数料が発生します。紹介された人材が採用に至らなかった場合、企業が料金を支払う必要はありません。ただし、サーチ型やハイクラス人材の採用では、契約時の着手金や選考プロセスごとの手数料が発生することもあります。
紹介手数料は、採用した人材の初年度の想定年収に手数料率を掛けるのが一般的です。料率の相場は35%程度ですが、専門性の高い職種やエグゼクティブ層など採用難易度の高い人材の場合は、それ以上になることもあります。
詳しくは『人材紹介の手数料の相場とは?初心者必見、しくみや返還金について徹底解説』の記事をご参照ください。なお、返還金規定については後ほど詳しく解説します。
人材紹介サービスと他の採用手法との違い
採用手法にはさまざまなものがありますが、人材紹介サービスとはどのような点が異なるのでしょうか。各採用手法の特徴を、以下にまとめました。
人材紹介サービス | 人材派遣サービス | 求人広告 | ダイレクト・ソーシング | 転職フェア | |
---|---|---|---|---|---|
雇用先 | 企業 | 派遣会社 | 企業 | 企業 | 企業 |
転職希望者へのアプローチ | 人材紹介会社 | 派遣会社 | 企業 | 企業 | 企業 |
求人公開の有無 | 非公開 | 公開 | 公開 | 非公開 | 公開 |
料金 | 想定年収の35%程度 | 時間単価×実働時間数 | 広告掲載料 ※媒体・規模による | (サービス利用の場合) 先行投資 もしくは 想定年収の15%程度 | 出展料 + 原稿掲載料 ※開催元・開催方法による |
特徴 | エージェントが求める人材にアプローチ | 登録している人材を期間限定で派遣 | 転職潜在層を含め幅広く周知 | 求める人材を直接スカウト | 転職希望者に直接PR |
人材派遣サービスとの違い
人材派遣サービスとは、人材派遣会社と雇用関係にある人材を企業に派遣するサービスです。企業と労働者を仲介するという点では似ていますが、「提供されるサービス」や「雇用契約」「サービス利用料金」など、異なる点が多くあります。
最も特徴的な点は、雇用契約です。人材紹介サービスは企業と転職希望者との間で直接雇用契約を結び、長期雇用を前提としています。一方、人材派遣サービスは人材派遣会社と派遣スタッフとの間で雇用契約を結ぶことが特徴です。派遣先企業は派遣会社との間で「労働者派遣契約」を締結することにより、必要な期間のみ派遣スタッフを受け入れ、業務の指示が出せるようになります。
人材派遣サービスでは、必要な期間のみ人材を確保することができるため、突発的な欠員補充などに向いています。一方人材紹介サービスは長期雇用を前提とした雇用契約を労働者と直接結ぶため、企業の中核をなす人材の採用に向いているといえます。
その他の違いの具体的な説明は、『人材紹介会社と人材派遣会社の違いとは?7つの観点から図を交えて解説』の記事をご参照ください。
求人広告との違い
求人広告は、求人サイトや折り込みチラシなどに文章や写真を掲載し、転職希望者を募集する採用手法です。主な違いは「企業と候補者の間に第三者(エージェント)が介入するか否か」と「料金が発生するタイミング」です。
人材紹介サービスは、人材紹介会社が企業と転職希望者を仲介します。入社が確定した時点で料金が発生する成功報酬型のため、人材を紹介してもらうだけでは料金は発生しません。
一方、求人広告では、企業と転職希望者が直接やり取りを行うケースが大半です。掲載する媒体により有料掲載と無料掲載があり、有料掲載の場合は、原稿を掲載するタイミングで料金を支払います。
採用に成功してもしなくても費用が発生するケースが一般的であるため、要件の複雑なハイクラス・即戦力層の採用よりも若手ポテンシャル層の採用に向いています。また、掲載1回あたりいくら、という形で費用が発生するケースが多いため、1回の掲載で複数人採用が決まれば、1人当たりの採用単価は低く抑えられるというメリットもあります。
ダイレクト・ソーシングとの違い
ダイレクト・ソーシングとは、企業の人事・採用担当者が自ら採用候補者を探し、直接スカウトを行う採用手法のことです。人材紹介サービスとの違いは、「誰がアプローチを行うか」です。
人材紹介サービスでは、人材サービス会社のエージェントが主に自社のデータベースに登録している転職希望者の中から企業の求める人材を選定し、推薦します。
対して、ダイレクト・ソーシングでは第三者(エージェント)が介入せず、人事・採用担当者自らが自社の情報網やSNS、民間企業が運営する人材データベースなどを活用して、転職希望者から転職潜在層にまで直接交渉します。
企業が直接、転職希望者のデータベースを検索してアプローチできるため、自社の求める人材が転職市場にどれくらいいるのかを把握できるとともに、転職希望者に自社の魅力を直接伝えて口説くことができます。ただしその分人事・採用担当者の採用工数が多くかかります。人材紹介サービスの場合は人材紹介会社がこれらを担うため、工数が抑えられます。
転職フェアとの違い
転職フェアは、転職希望者を対象とした合同企業説明会です。幅広い業界が混在するものから、業界や職種を限定するもの、女性やUターン者など属性を絞ったものまで、さまざまな種類・規模・実施方法(オフライン/オンライン/ハイブリッド)があります。また、競合他社が同時に採用活動を行っていることも特徴と言えるでしょう。人材紹介サービスとの違いは「第三者(エージェント)が介入するか否か」と「料金のしくみ」です。
人材紹介は、第三者が採用活動を代行する、成功報酬型の採用手法です。
一方、転職フェアは、企業の人事・採用担当者が転職希望者と直接話をし、場合によっては個別説明会やカジュアル面談などを行うこともあります。また、実際の来場者や採用に至った人数にかかわらず、出展料や原稿掲載料などの料金が発生します。
転職希望者と直接話し、一定の料金で場合によっては複数人採用できる、というのが転職フェアのメリットです。対して人材紹介サービスは、成功報酬型になるためコスト面では1人あたりの採用単価は高めとなりますが、一方で採用活動を任せられるというメリットがあります。
人材紹介サービスを活用すると効果的なケースの事例
人材紹介サービスは、どのような場合に活用すると効果的なのでしょうか。人材紹介サービスの利用が向いている採用ケースを4つご紹介します。
ハイクラス人材やマネジメント層など即戦力を採用したいとき
人材紹介サービスは、経営目線を持って活躍できる、ハイクラス人材やマネジメント層などの即戦力を採用したいときに有効です。特にハイクラス人材は転職市場でも人数が少なく、採用の難易度も高いため、スキルや年収、経験などが一定条件以上の人材が登録する人材紹介サービスを利用すると効率的に採用活動を行うことができます。 中長期な事業戦略を考えたり、自ら計画や施策を立案しチームや部署をけん引したりすることが求められるマネジメント層は、直接雇用して長期に活躍してもらうことが望ましいと言えます。
急な欠員をすぐに補充したい場合
欠員補充のために人材をすぐに確保したい場合にも、人材紹介が便利です。人材紹介会社にはさまざまな転職希望者が登録しているため、基本契約書を締結していれば、求人票を作成次第、すぐに候補者の推薦を受けることができます。採用までのリードタイムを短縮できるため、スピードを重視した採用活動が可能となるでしょう。
社内に人事・採用に特化した部門がない場合
人材紹介サービスの利用は、社内に人事・採用に特化した部門がない場合にもおすすめです。人材紹介では採用のプロであるエージェントが採用業務を代行してくれるため、選考以外はコア業務に専念できます。不慣れな採用業務に工数を割く必要がなく、自社の求める人材を効率的に採用できるでしょう。また、人材紹介サービスは紹介された人材が入社するまで費用が発生しないため、コスト面のリスクを抑えながら採用活動を行えます。
人材を公募で採用したことがない場合
人材を公募で採用したことがない場合も、人材紹介サービスを利用するとよいでしょう。人材紹介会社のエージェントとのやり取りの中で、採用における新たな観点を得たり、市場の動向を正しく把握したりできるというメリットが期待できます。人材紹介会社が持つ情報を参考にすることは、自社の採用課題を見つめ直すきっかけにもなるでしょう。また、エージェントが企業の魅力を口頭で補足・説明してくれるため、広報・PR活動の有無や従業員規模、企業の知名度に左右されることなく、応募者を集めることが可能です。
人材紹介サービスを利用する際の注意点
人材紹介サービスを利用する際には、以下の点に注意しましょう。
他の採用手法と比べて割高になることも
人材紹介サービスを利用して人材を採用した場合、採用した人数分の紹介手数料が必要です。一般的に紹介手数料の相場は、採用した人材の想定年収の35%程度であることから、1人あたりの採用コストが他の採用手法に比べ割高になる傾向があります。さらに、ハイクラス人材を採用する場合は紹介手数料の料率が上がることがあります。また、サーチ型を利用した場合は着手金が生じることもあります。採用人数が多い場合や、採用要件が高い場合は、一層、予算内に採用コストが収まるかどうかを考慮しながらサービス利用をすすめましょう。
なお、多くの人材紹介会社は、採用した人物が一定期間内に早期退職をした場合に、紹介手数料の一部を返金する「返還金規定」を設けています。ただし、対象期間や返金額は人材紹介会社によって異なり、着手金は基本的に返金されないため、基本契約書を締結する際には返還金規定についてもよく確認しておきましょう。
母集団が集まらない場合も
一般紹介型の場合、人材紹介会社に登録している人材の中から企業の求める人物を推薦します。そのため採用要件を絞り込みすぎると、対象となる人材が少なくなることも考えられます。採用要件について優先順位を整理し、転職市場の動向なども踏まえたうえで要件を設定することが大切です。
社内に採用ノウハウが蓄積されないことも
エージェントが採用業務を代行してくれる人材紹介サービスを利用すると、人事・採用担当者の負荷軽減につながります。一方で、代行した部分のノウハウを社内に蓄積しにくいという側面があることにも注意が必要です。転職希望者の直近の動向や面談前後の反応などを把握するとともに代行業務のノウハウを得られるよう、人材紹介会社とは積極的にコミュニケーションをとるとよいでしょう。採用が成功した要因や失敗した要因など、人材紹介会社から採用活動の知見をフィードバックしてもらい、社内でも振り返りや分析を行うことが大切です。
人材紹介サービスで人材を採用するまでの流れ
人材紹介会社は「採用要件ヒアリング」「候補者の人選・紹介」「選考日程調整」「候補者への合否連絡」「条件交渉」など、採用業務全般を企業に代わって行います。そのため、人材紹介サービスを利用する際に企業が行う採用業務は、「求人依頼」「書類選考・面接選考」「採用通知・入社承諾」「入社手続き」の4つです。
人材を採用するまでの期間は求める人材の要件や難易度によって異なりますが、数週間から数カ月程度です。以下で、人材紹介サービスを利用して人材を採用するまでの流れを詳しく説明します。
①問い合わせ
まずは、人材紹介会社に電話やメール、Webサイトなどを通じて問い合わせをします。人材紹介会社の担当者が問い合わせ内容をもとにヒアリングを行うので、求める人物像や採用要件などをできるだけ具体的に伝えましょう。
②契約
人材紹介会社に初めて人材紹介を依頼する場合は、「基本契約書」の締結が必要です。契約書には「紹介手数料の料率」や「支払いのタイミング」「返還金規定」などが記載されています。記載内容に問題がなければ、契約を結びます。契約書に記載された依頼内容であれば、次回以降この行程は不要です。
③求人要件のヒアリング・求人票作成
次に求人要件をもとに、求人票を作成していきます。求人票は人材紹介会社の担当者が作成してくれる場合と、自社で作成する場合がありますが、自社で作成する場合も、担当者が魅力的な求人となるようアドバイスしてくれるので安心。人材紹介会社の担当者は転職市場の市況感を把握しているので、相談しながら記載内容や要件を固めていきましょう。
④マッチング
求人票が完成すると、人材紹介会社は採用要件に合った人材を探します。適切な人材が見つかれば、転職希望者に求人を紹介するとともに、応募の意思を確認します。求人票だけでは応募につながりにくい場合は、担当者やキャリアアドバイザーが直接企業の魅力やその企業で描けるキャリアプランなどを説明することもあります。候補者の応募の意志が固まったら、人材紹介会社は応募書類を取りまとめて企業に提出します。履歴書や職務経歴書のほか、候補者の人物像や推薦理由を記載した「推薦書」を提出することが一般的です。
⑤書類選考
書類選考では、企業が候補者のスキルや経験値、推薦書に記載されている内容を総合的に判断し、次の選考過程(面接試験)に進めるかどうかを決定します。気になった点をエージェントに確認することもあります。合否結果の通知や、面接試験に進んだ場合のスケジュール調整は、人材紹介会社が行います。選考が進んだ候補者に対しては、面接対策などのサポートが行われます。
⑥面接
面接では、書類選考では把握しきれない、候補者の人柄や意欲、スキルなどを確認します。面接後は人材紹介会社を通して、面接後の候補者の反応や入社の意欲などを把握したり、採用したい人材に対して入社意向が高まるようコミュニケーションを取ったりすることも可能です。
⑦採用条件の確認・条件面談
面接の結果、候補者と自社のニーズが一致したら、企業は人材紹介会社を通じて採用条件を通知します。企業や候補者の状況によっては、条件通知面談や労働条件交渉を行うケースもあります。なお、採用が決定したのちの雇用契約書の締結や入社日の調整、候補者へのフォローなども人材紹介会社が担当します。
⑧入社
候補者が入社したら、企業は人材紹介会社に紹介手数料を支払います。請求書は入社日を起点として発行されるのが一般的です。
人材紹介会社を選定する際のポイント
人材紹介会社にはさまざまなタイプ・企業があるため、どのような点に留意して選定するとよいのか、悩むこともあるのではないでしょうか。ここからは、人材紹介会社を選ぶ際のポイントをご紹介します。
採用したい業界・職種の採用実績があるかどうか
人材紹介サービスを選ぶ際は、自社が採用したい業界や職種の採用実績があるかが非常に重要なポイントです。登録人数の多さだけでなく、「その中に求める人材がどれだけ含まれているか」「採用につながった例がどの程度あるか」を確認しましょう。ホームページ上に採用実績や事例を掲載している人材紹介会社もあるため、自社の企業規模や業種に近い事例があれば、参考にするとよいでしょう。
採用したい業界・職種について知識が豊富かどうか
業界や職種への理解度、転職市場についての知識は、マッチングの精度に直結します。特に専門性の高い職種は採用の難易度が高くなるため、会社全体の知識量は把握しておきたいところです。求める人材に応じて、一般紹介型の総合タイプと専門タイプ、サーチ型を使い分けるのもよいでしょう。総合タイプの人材紹介会社の中には、特定業界・職種に特化したチームがある場合もありますので確認してみましょう。
分業型か両手型か
分業型か両手型かも、人材紹介会社を選定する際のポイントです。分業型とは、企業担当のエージェントと候補者担当のキャリアコンサルタントに分かれて候補者を支援する形態です。それぞれに寄り添ったサポートや提案を行うため、理解が深い場合が大半ですが、まれに情報共有や連携がうまく行われないケースもあります。それに対し、両手型(統一型)は企業と候補者とで担当を分けず、1人のエージェントが対応する形態です。双方の情報やニーズを集約し、温度感を把握しながらマッチングを進めるため、認識の違いが生まれにくく、ミスマッチが起こりにくいという特徴があります。
マッチングの精度が高いかどうか
紹介された人材が採用に至って初めて効果があったと言えるため、マッチングの精度も欠かせない選定ポイントです。問い合わせやヒアリングの際には、「候補者との面談での確認事項」や「候補者選定までのフロー」など、マッチングの精度を高めるためにどのような工夫を行っているかを確認するとよいでしょう。
人材紹介会社を活用するコツ
人材紹介会社を活用するにあたり、より採用に至る確率を高めるためにはどうすればよいのか、利用にあたってのコツをご紹介します。
採用の背景や採用したい人材の要件をしっかりと伝える
一つ目のポイントは、問い合わせやヒアリングの段階で募集の背景や採用要件をしっかり伝えることです。採用の目的が事業の拡大による増員なのか、欠員の穴埋めなのかによっても、エージェントのアプローチや候補者のモチベーションは変化します。これらをしっかりと伝えることでマッチングの精度を高めることができるでしょう。限られた時間で要望を的確に伝えるためには、要点を紙1枚程度にまとめた資料を事前に用意しておくことも有効です。人材要件を伝える際は、「自走できる人材」や「マネジメントができる人材」などのあいまいな表現ではなく、「●●の資格保有者で、実務経験3年以上」「10名以上のチームマネジメント経験者」というように具体的に提示しましょう。
採用したい人材の要件と市況感をしっかりとすり合わせる
自社が採用したい人材の要件と採用・転職市場の動きをすり合わせることもポイントの一つです。人材紹介会社の担当者から市況感や転職希望者のニーズをもとにアドバイスを受けることで、採用課題の解像度が上がり、効果的な施策を打てるようになるでしょう。
自社の魅力をしっかりと伝える
人材紹介会社は企業に代わって候補者の選定や企業の魅力付けを行うため、業界の特徴や将来性、企業風土、ユニークな取り組みなど、自社ならではの魅力を事前に伝えておくことも重要です。自社のポジティブな要素をアピールすることで、候補者に紹介してもらえる可能性が高まるでしょう。どのような人物が活躍しているか、また採用に至った経緯などが説明できると、エージェントが魅力を伝えやすく、候補者のモチベーション向上にもつながります。可能であれば、直近で採用した社員にヒアリングをしてもらうのもよいでしょう。
合否理由のすり合わせをしっかりと行う
合否にかかわらず、エージェントへのフィードバックは丁寧に行いましょう。特に不採用になった場合は、不採用に至った理由や不足していたスキルなどをできるだけ詳細に伝えることが大切です。合否の理由を整理しておくことは、フィードバックを受けた人材紹介会社の今後のマッチング精度が高まるだけでなく、企業が求める人物像の解像度が上がるといった効果も期待できます。
連絡を密に取り、採用候補者の意向をしっかり押さえておく
人材紹介会社とは密に連絡を取り合い、採用候補者の意向を把握しておくことが大切です。候補者の状況をこまめに確認することは、エージェントとの良好な関係維持のほか、求める人材の解像度の向上やミスマッチの減少、最終的には採用の成功につながります。人材紹介会社と連携をとりながら成功事例を積み重ねることで、より効率的に採用活動を進められるようになるでしょう。
今人材紹介サービスが重視されている理由
数ある採用手法のうち人材紹介サービスが重視されている理由には、人手不足の深刻化により採用難が続いていることが挙げられます。企業規模や業種による採用格差が生じている中、採用を成功させるためには、市場動向を踏まえた採用戦略を立てるとともに、自社にマッチする人材にアプローチをしていくことが必要です。
人材紹介サービスは、エージェントが候補者と企業の間に入るため、企業は採用のプロに採用課題を相談することができます。また、候補者に対しては候補者のニーズとすり合わせながら企業の魅力付けを行うため、精度の高いマッチングが期待できるでしょう。
昨今、人材紹介サービスは人材派遣や求人広告などの採用手法ではなかなか採用できない、専門性の高い職種やハイクラス人材を採用する手段としても重宝されています。
【まとめ】人材紹介サービスで効率的な採用活動を
人材紹介サービスは、企業の採用要件に合った転職希望者を紹介する成功報酬型のサービスです。初期費用を抑えながら採用活動を行えるほか、採用工数の削減、業務ノウハウの蓄積などのメリットがあります。「即戦力となる人材を採用したい場合」や「急な欠員を補充したい場合」など、さまざまなケースで活用できる採用手法のため、採用活動にお困りの際は人材紹介サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。